親を信頼できないと他人も信頼できなくなる?精神科医の答えは…
ちまたでは、
「親を信頼できない子どもは、他人も信頼できない」説
がまことしやかに囁かれていますが、この説を強力に擁護しているのが[愛着理論]です。
今回は、この愛着理論の言い分を批判も含めて紹介していきます。
1. 親子関係からは逃げられない?
今回、参考にするのは、高橋和巳氏の著作『「母と子」という病』です。
1-1. 信頼と愛着
高橋氏によると、
出発点は母子の愛着関係にある。そこでできた自己イメージの大枠は、おそらく生涯を通じて変わらない。それは、よいも悪いも、生まれながらに背負った運命だ。運命は変えられない。(高橋和巳『「母と子」という病』)
(赤文字は引用者)
※愛着関係とは、強い心の絆のこと
※また、この心の絆は2歳までに作らなければならない
1-2. 愛着関係の根拠
つまり、人生は2歳までの母子関係に縛られるということです。
その根拠として高橋氏が挙げるのが、[内的作業モデル]です。
2. 内的作業モデルとは
内的作業モデルとは、「人間とはこういうものだから、こう対応した方が良い」というマニュアルのようなものです。
2-1. このように作られる
「公園で転んで泣き出したa君とb君」が居たとします。その時、
- a君の母親:「痛かったわね、かわいそうに」と慰める。
- b君の母親:「ふざけすぎたからでしょ」と叱る。
このようにそれぞれの母親が対応したとすると、a君とb君はどのように育つのでしょうか。
2-1-1. a君の場合
「失敗しても助けてもらえる」と思う
↓
「他人は優しい」というイメージを抱くようになる
↓
そのイメージの上に「どのように助けを求めたらいいのか」といった具体的な知恵を築いてゆく
2-1-2. b君の場合
「失敗したら怒られる」と思う
↓
「他人は冷たい」というイメージを抱くようになる
↓
そのイメージの上に「他人と関わってはいけない」といった具体的な知恵を築いてゆく
2-2.イメージと教訓
つまり、内的作業モデルは、
- 親子関係の中で抱いた人間のイメージ
- それをもとにつくった、他者と関わる際の教訓
で出来ています。
よって、親を信頼できない子どもは、
- 他人は信頼できない。だから、他人は避けるべきだ。
- 〃。だから、過剰にサービスをしてつなぎ止めるべきだ。
という内的作業モデルを持ってしまうわけですね。
ちなみに、愛着理論に詳しい方は、1→「回避型」愛着スタイル、2→「不安型」愛着スタイルに似ていると思うのではないでしょうか。
3. 注意
さて、そんな内的作業モデルですが、けっこう多くの方が「説得力がある」と思ったのではないでしょうか。
しかし、今度は「内的作業モデルが存在するという根拠はあるのか」を問わなければなりません。
3-1. 科学的根拠はない
実は、内的作業モデルが存在するという科学的根拠はありません。
「あったらいいな」をカタチにする小林製薬のように、愛着理論系カウンセラーが「あったらいいな」と思っているだけです。
3-2. 「親子関係は」変わる
もちろん、子どもにたっぷり愛情を注げば「親子関係は」良くなります。
よって、子どもは愛情たっぷりで育てた方が良いでしょう。
しかし、だからと言って「他の人も信頼していいんだ」というような単純な考え方を人間はしません。
人間の脳は複雑に出来ているからです。
3-3. 毒親から育てられた人は?
このことを特に知ってもらいたいのは「毒親から育てられた方」です。
愛着理論の考え方では、「親子関係でつまずいた者はあらゆる人間関係でつまずく」ことになるので、
毒親から育てられた人には絶望しかありません。
しかし、そのようなことはありえないと最後に言っておきたいと思います。
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