「生きる意味」を超考えた、デンマークの男子の話をするよ
「人間が生きる」とはどういう事なのかを徹底的に考えた人として有名なのは、
大体、この3人です。
この内、フランスのおっさん(サルトル)の話は、実は前回したのですが、
agonarisannotou.hatenablog.com
今回は、デンマークのお兄さん(キルケゴール)の話をしようと思います。
1. 従来の哲学の考え方
前回も[本質]という言葉の意味から書いていったのですが、
今回は、スコラ哲学の巨星のおじさんであるトマス・アクィナスの[本質]の定義から書いていきます。
ある日、トマス・アクィナスは「存在には2種類ある!」と言いました。
その2つとは、
- 【本質存在】
「~である」「~だ」という性質や普遍的な事柄を示すもの。[例文]猫は哺乳類だ。空は青い。 - 【現実存在】
「~がある」というありのままの事実のこと。
例えば、「時計」を考えてみましょう。
1-1. 本質存在とは
「時計ってどんなもの?」と問われた場合、時を刻むものと答えたり、時計の構造を答えたり、時計の絵を描いたりするでしょう。
それらが「本質存在」です。
1-2. 現実存在とは
しかし、それらの説明だけでは各人が持っている時計の思い出や思い入れは表現できません。
「現実存在」には、他のものとは代え難い唯一性が刻まれているのです。
にもかかわらず、本質存在による規定だけではそれがわかりません。
1-3. 本質存在の方が素晴らしい?
この内、トマス・アクィナス(スコラ哲学)は「本質存在の方が素晴らしい」と考えました。
「現実存在」が抱えている唯一性や偶然性を軽視していたわけです。
そのようなあいまいな要素を排して、世界や人間の「本質存在」に従って生きることが正しい生き方だと考えていたわけですね。
2. キルケゴール登場
そのような流れに一石を投じたのがキルケゴールでした。
キルケゴールが始めた哲学は「実存哲学」と言います。
2-1. 実存哲学と実存主義
実存哲学とは、
「自分はなぜこのように存在するのか」という不可解さをとことん追求する哲学
ちなみに、サルトルが始めた「実存主義」は実存哲学の一部です。
2-2. 現実存在と実存
キルケゴールが注目したのは、これまで哲学ではあまり言及されてこなかった「現実存在」です。
ところで、[実存]という言葉は聞いたことがないでしょうか。
両者の違いは、
- 現実存在→あらゆる存在に関する言葉
- 実存→人間に関する言葉
みたいな感じです。
2-3. 実存とは
というわけで、あらためて[実存]の意味を書きます。
実存とは
自分で選んだわけではないのに背負わされている「自分という存在」のこと
このように、どちらかというと、ネガティブな意味合いの言葉です。
キルケゴールは生まれつき、背骨が曲がるという身体障害(くる病?)や精神的なモロさを持っていました。
このような「自分という存在」に対して、徹底的に考えたわけですね。
3. 最後に
キルケゴールの思想を紹介しようと思ったら、エネルギーをかなり使うので、いつか元気モリモリの日にやろうと思います。
しかし、まあ、[本質]と[実存]は日常会話でも、代わりべんたん、代わりべんたんに使える言葉だと思うので、
この2つだけでも覚えて帰ってください。