家事や育児を賃金換算すると〇万円になるらしい
今回も前回に引き続き「家事は労働だ!」というマルクス主義フェミニズムの主張を紹介していきます。
1. マルクス主義フェミニズムの主張
- 家事は労働である
- にもかかわらず、賃金が支払われていない(不払い労働)
- 家事は基本的に女性が担う
と主張します。
1-1. 家事とは
まず、[家事]の辞書的な定義を確認しておくと、
- 料理,裁縫,育児,洗濯,清掃,生活用品の購入,家計の切盛りなど
- 人間の生命維持や家庭生活を支えるもの
(参考:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
このように、ブリタニカ国際大百科事典では[育児]も含んでいますが、辞書によっては含んでいないものもあるし、
[家事・育児]という言葉もあります。
1-2. 育児とは
一応、[育児]の辞書的な定義も確認しておきましょう。
- 食事,睡眠,排泄,清潔,衣服の世話,
- 安全の確保,接触 ,話しかけるなど情緒面の世話
こちらもブリタニカ国際大百科事典を参考にしたのですが、注意点としては、
育児は、小学生前(6歳未満)の子どもに対する世話のことを指す
ということです。
対して、[子育て]は年齢問わず子どもに対する世話のことを言います。
※ちなみに、6歳未満の子を[未就学児]や[乳幼児]と呼ぶ
1-3. 家事・育児の夫婦分担
古くから家事・育児は女性が担うべきものとされ、現在の日本でも、家事・育児の負担は、妻と夫で5:1~6:1と言われています。
平成30年版の男女共同参画白書(概要版)によると、
6歳未満の子どもを持つ夫婦が、1日に家事・育児に費やす時間の平均は、妻:7時間34分、夫:1時間23であるとのことです。
グラフもあったので引用しておきます。
※ 総務省「社会生活基本調査」(平成28年)をもとに作成
※ 家事には介護や看病も含んでいる
と言っても、これは専業主婦も含まれるので、妻の方が家事・育児の時間が長くなるのは仕方ありません。
また、このグラフでは国際比較がされていますが、国によって専業主婦の割合も違うということも念頭に置くべきでしょう。
例えば、日本では年々減ってきているものの専業主婦の割合は平成30年で33%、
対して、スウェーデンではたったの2%だそうです。
1-4. 家事労働を賃金に換算すると
マルクス主義フェミニズムの代表作は、マリアローザ・ダラ・コスタの『家事労働に賃金を』(1972) です。
それでは、家事・育児を賃金に換算するといくらになるのか。
もちろん、家事・育児には父親も関わるのですが、ここでは6歳未満の子どもを持つ母親のことを考えます。
結論を言うと・・・
ズバリ、約301万円です!!
【計算方法】
求人ボックス.comによれば、家事代行とベビーシッターの平均時給は約1100円。
男女共同参画白書の資料によれば、妻の家事・育児の時間は7時間34分。
よって、日給は1100×7.5=8250円。
家事・育児には休みがないので、8250×365=約301万円。
2. フェミニストと専業主婦
301万円が安いと思うか高いと思うかは人それぞれでしょう。
中には家事・育児を賃金換算することに違和感を覚える方もいるかもしれません。
また、「家事労働に賃金を」という主張に対しては、フェミニズムの間でも賛否を巻き起こしたそうです。
フェミニストは、基本的に女性の経済的自立を目指し、女性を家庭内に閉じ込めることを批判します。
よって、専業主婦を固定化するような「家事労働に賃金を」には難色を示すのです。
しかし、マルクス主義フェミニズムは「主婦年金」の設立にも関わっているので、その意味では専業主婦にも貢献しています。
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