「不安型愛着スタイル」という、うさん臭い子育て用語にご用心
今回は「不安型愛着スタイル」という、何だかよくわからないけれど、けっこう多くの人に信じられているものの話をします。
これの「不安型」が今回のテーマです。
ちなみに「不安型愛着スタイル」の定義は、日本で最も有名な、岡田尊司氏のものを参考にさせて頂きます。
1. 不安型愛着スタイルとは
「不安型愛着スタイル」が一部の人の間で信じられているのは、何となく自分にも当てはまっている感じがするからでしょう。
1-1. 主な特徴
まずは、不安型愛着スタイルの特徴をいくつか挙げます。
- 相手の顔色を気にしてしまう
- 「嫌われてるのではないのか」と疑心暗鬼になりやすい
- 相手が怒ったと思うことがよくある
- 相手の反応が悪いと不安になる
- 気遣いをする分、見返りを求めてしまう
- 親密になった相手を束縛しようとたり、悪い場合は行動を監視したりする
まあ、一言で言えば、他人の評価に依存しやすいわけですね。
特に、恋愛において、このようなネガティブな傾向は強くなるとのことです。
1-2. 身に付く原因
次は不安型愛着スタイルが身に付く原因について書きます。
まとめると、大体こんな感じです。
- 「親(特に母親)が温かく接してくれることもあれば、冷たく突き放されることもあった」という環境で育った
- 「他人は冷たい」と思うようになる
- その結果、他人の様子に敏感になったり、他人が離れてしまわないように過剰に気を使うようになる(=不安型愛着スタイルが身に付く)
さらに、重要なのは、
不安型愛着スタイルになるかどうかは、2歳までにほぼ決まるということです。
要するに、人生は2歳までの親との経験に左右されるというわけですね。
1-3. 要注意点
しかし、注意して欲しいことがあります。
人間は脳の構造上、物心つく前(3歳以前)のことは忘れてしまうのです。
※ただし、多少の個人差はあります。
ということは、3歳以前に親から冷たくされたという経験に左右されることはないはずです。
岡田氏も、
(赤文字は引用者)
と言っています。
1-4. 人々を不安にする言説
ところが、岡田氏の主張では、
2歳まで母親との関係が上手くいかなかった人は、大人になって後でも、その記憶に縛られ上手く恋愛ができない
ということになります。
これは非常に人々を不安にさせる言説でしょう。
ちなみに、人々は不安になった時、解決してくれそうな人のこと信じやすくなる傾向があります。
これも岡田氏の主張を多くの人が信じてしまう理由の一つなのかもしれません。
また、以前も書きましたが、
岡田氏の話は「愛着の問題は優秀な精神科医くらいしか解決できないので、お早めに」とつづくことにも注意しましょう。
2. 違う方法
しかし、例えば、現在注目されている、対人関係療法などでは、
現在、最も身近にいる人とのコミュニケーションの質を上げることで、様々な精神的な不安を解決する
という手法が取られます。
言い換えれば、人間は過去の人間関係に縛られないということですね。
しかし、岡田氏などが採用する、
「人生は幼児期の親子関係で決まる」的な言説は20世紀ごろから大流行し、おそらく、いまだに心理学界に根強くあるのでしょう。
ですが、このような言説は、
- 毒親に育てられた場合、絶望しかない
- きちんとした親に対しても、過度なプレッシャーを与える
というものなので、早く無くなった方が良いと思うのですがいかがでしょうか。
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