モーニングワーク(喪の仕事)のススメ
私たちは大切な人を失った時、悲しみに暮れるのですが、実はこの悲しみにはプロセスがあります。
このプロセスを[喪の仕事(モーニングワーク)]あるいは[グリーフワーク]と言います。
※morning(朝)ではなくmourning(喪) グリーフ(grief)=深い悲しみ
まあ、名前はたくさんありますが、使いたいものを使ってください。
1. 喪の仕事とは
[喪の仕事]という名前の通り、想定されているのは「親しい人を亡くした時の悲しみ」です。
しかしそれに類する、例えば失恋の悲しみや、なんらかの挫折をした時の悲しみにも当てはまるでしょう。
1-1. モーニングワークの3段階
この喪の仕事(モーニングワーク)、あるいはグリーフワークには3つの段階があります。
「いや、4段階だ!」と言う人や「5段階ある」という人や、「12段階」という強者もいますが、
基本的には3段階あり、それが場合によっては細分化されるといった感じです。
その3つを示すと【否認→絶望→脱愛着】となります。
それぞれの段階の説明については、精神科医の水島広子氏の言葉を引用しましょう。
1-1-1. 否認の段階
最初に(不幸な)ニュースを聞いたときには、わが耳を疑い、「信じられない」「信じたくない」という気持ちになります。(出典元:水島広子『自分でできる対人関係療法』)
1-1-2. 絶望の段階
次に、どんなに信じたくなくても、現実のこととして事実に直面させられると、「もう生きていけない」「何の希望もない」という気持ちになります。(出典元:同上)
1-1-3. 脱愛着の段階
そして、そうした状況を十分に悲しみ切ることができると、絶望でいっぱいだった心には、やがてほかのことを考える余裕が段々と出てきます。(出典元:同上)
1-2. 本来は自然に起こるもの
このような一連の悲しみの過程は、自然に起こるものです。
それでは[モーニングワーク]や[グリーフワーク]というように、「ワーク」と付けるのはおかしいと思われるかもしれませんが、
たまに【否認】で止まったり、ちゃんと【絶望】していなかったりして【脱愛着】まで到達しない人もいます。
そのような人は余計に苦しみ、うつ病などの心の病になったり、忘れた頃に心の病なる場合もあるそうです。
よって、変な言い方になりますが、
- きちんと絶望する
- 悲しいことや愛していたことを認める
という過程が必要なわけですね。
1-3. 目安は半年
【脱愛着】にまで到達するのには、数カ月から半年かかると言われています。
世間ではいつまでもクヨクヨしない前向きな人が評価されたり、「仕事が忙しくて悲しんでいる場合じゃない」と考える人も多いのですが、
死別のような深い悲しみと向き合うにはかなりの期間が必要なのです。
2. フロイトによる定義
喪の仕事を定式化したのは、精神分析の創始者であるフロイトです。
2-1. 心から断念する
フロイトによると、
喪の仕事とは、失った対象を心から断念できるようにすることです。
[愛]には固執性があり、愛着対象を失っても、なかなかその対象から離れようとしません。
よって、喪の仕事には半年もの期間を要するわけですね。
しかし、失った対象に固執するのは非常に辛いことなので、多くの人は【否認】や【絶望】の段階をないがしろにしてしまうのです。
2-2. 早く忘れるべき?
「忘れる」という行為にも注意しなければなりません。
たとえ、あの人のことは忘れたと思っていても、きちんと悲しみに向かい合っていなければ、まさに忘れた頃にうつなどの症状に見舞われることもあります。
人間の心は複雑なのです。
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