少し前までフランスでは女性は「人間扱い」されていなかった?
[フェミニズム(feminism)]という英単語は1910年以降に一般的に使われるようになりました。
しかし、フランスでは1837年の時点で[フェミニスム(féminisme)]という言葉が使われていたようです。
今回は、そんな感じの話をします。
1. フェミニズムの起源
フランス革命は有名なので、多くの方は、名前ぐらいは聞いたことがあると思うのですが、その原動力になった[フランス人権宣言(1789年)]をご存知でしょうか。
1-1. フランス人権宣言(正式名称:人間と市民の権利宣言)
その[第一条]は、
人は自由かつ権利において平等なものとして生まれ生存する
人々の平等や尊厳を高らかに謳ったこの宣言に、多くの人は「キタ――(゚∀゚)――!!」となったのですが、
実は、大きな欠陥があり、「人々」の中には女性は含まれていませんでした。
※と言っても、動物のような扱いをしていたわけではなく「半人前」のようなニュアンスです。
1-2. 女権宣言(正式名称:女性および女性市民の権利宣言)
それを受けて、フランスの女優で劇作家でもあったオランプ・ド・グージュ(1748-1793)は、2年後の1791年に[女権宣言]を発表します。
その[第一条]は、
女性は自由かつ権利において男性と平等なものとして生まれ生存する
この宣言は多くの女性を勇気づけ、後世の人から[リベラル・フェミニズム]と呼ばれる運動を起こします。
様々な国家が婦人参政権を認めるのはまだ先の話(20世紀以降)ではあるものの、この運動こそがフェミニズムの起源だとされているのです。
1-3. リベラル・フェミニズムとは
というわけで、最初のフェミニズムであるリベラル・フェミニズムは、
男女平等や女性の自由を求める思想
と定義できます。
[リベラル]というのは、
- 人間は皆、理性を持った尊い存在である
- よって、各個人の自由を尊重しなければならない
という考え方で、リベラル・フェミニズムはこれに根付いているわけですね。
2. 「女性は半人前」という偏見
ただし、「女性は半人前だ」としていたのは当時のフランスだけではありません。
このような考え方は、古今東西いろいろな場所で見られます。
例えば、西洋の思想や学問のルーツとされる古代ギリシャのアテナイ(アテネ)では、市民階級の女性でさえ「半市民」とされていました。
- 家庭で「本来の市民」たる夫を支える
- 将来の市民を産み育てる
というのが社会的な役割で、やはり、男性の補佐的な存在という位置づけだったわけですね。
3. 女性自身が獲得せざるを得なかった
など、いろいろな批判があります。
しかし、人々の自由や尊厳への道を一歩進めたことは確かでしょう。
と言っても、女性の権利は女性自身が主張し、獲得しなければならなかったというのも確かです。
これは、フェミニズムの第二派とされる[ラジカル・フェミニズム]が男性社会に不信感を抱く理由の一つでもあります。
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