フェミニストは「おごらない男はクソ」と言ってもOKだったぽい?
[Aくんの質問]
[解答]
おかしくはありません。
なぜなら、フェミニズムは「飲み代は割り勘にすべきかどうか」などは問題にしないからです。
・・・という生活感あふれる話をしつつ、
最後には「男女平等」という言葉の正しい意味もわかる、そんな東進の林修先生のような解説をしようと思います。
1. おごって欲しいフェミニスト
「フェミニスト」といえば、私たちは、
- 男女平等を尊重する
- 「女らしさ」や「男らしさ」という言葉を嫌う
という人々をイメージしがちです。
1-1. 「フェミニストなのに」
よって、先ほどの[Aくんの質問]には、多くの方が「確かに、そのBさんはおかしい」と考えると思います。
確かに、そのBさんは批判されても仕方ないでしょう。
しかし、だからと言って「Bさんはフェミニストなのにおかしい」ということにはならないのです。
1-2. B is pianist だったら…
例えば、 Bさんが[ピアニスト]だったとしましょう。
だとしても「Bさんはピアニストなのに男におごれと言うのはおかしい」とは思わないですよね。
1-3. 人的にはダメ
それと同じで、
ただし、もう一度言いますが「おごれクソ」と言う人は、人としてはダメです。
2. そもそも男女平等とは?
今回、このような屁理屈をこねくり回した話をした理由は、実は「男女平等とはどのような状態をさすのか」を考えたかったからです。
2-1. 社会の3つの領域
社会にはいくつかの領域があります。
- 公的領域→社会のいろんな立場の人々が関わる場
- 家族領域→家事や育児、家庭内の雑事をする場
- 私的領域→個人的な人間関係や趣味をする場
この内、フェミニズムが目指すのは公的領域と家族領域における男女平等です。
「おごりか、割り勘か」は私的領域に関わることなので、各自が話し合うべきことだということでしょう。
2-2. ラジカル・フェミニズムと性暴力
ただし、私的領域で行われた性暴力に関しては、特にラジカル・フェミニストは猛反対しているようです。
おそらく、性暴力がダメというのは、ほとんどの人が同意するでしょうが、
ラジカル・フェミニストは、
- 「ちょっとエッチなポスター」くらいでも一種の性暴力である
- そういった、広い意味での性暴力は女性支配の根源である
と主張している点で一線を画しています。
それは一体全体、どういう風の吹き回しなのか、を次回書いていこうと思います。
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共産主義と男女平等の意外な関係について
今回は、
という、どちらの人にもタメになる、一粒で二度おいしい「グリコアーモンドチョコ」のような記事を書いていきます。
1. 実は女性に優しかった共産主義
[共産主義]と言えば、多くの人を弾圧した恐ろしい体制というイメージが強いのですが、思想的には、
- 資本家の搾取から労働者を解放する
- 男性中心社会から女性を解放する
というものでした。
そして、おそらく、共産主義に2の側面があったことはあまり知られていないのではないでしょうか。
2. フリードリヒ・エンゲルスとは?
共産主義の理論的支柱になったのは、カール・マルクスと、その盟友であるフリードリヒ・エンゲルスなのですが、
特にエンゲルスの方は、女性の権利の向上という観点から言っても重要な人物だったと言われています。
2-1. 男女差別は自然なこと?
エンゲルスやマルクスが生きた19世紀には、男女の不平等は自然なことだと思われていました。
難しい言い方をすれば、
19世紀を席捲したダーウィン主義によって、男女の不平等は生物学的必然とされていた
わけですね。
2-2.『家族・私有財産・国家の起源』
それに対して異を唱えたのがエンゲルスです。
エンゲルスは著書『家族・私有財産・国家の起源』の中で、このように書きます。
富が増大するのに比例して、この富は、一方では家族内で男性に女性よりも重要な地位を与え(…)男性は家のなかでも舵をにぎり、女性は品位を穢され、隷属されられて、男性の情欲の奴隷、子供を産む単なる道具となった。(出典元:フリードリヒ・エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』)
(赤文字は引用者)
要するに、エンゲルスの主張は、
男女の不平等は自然なことではなくて、文明が人工的に作り出したものだ
ということです。
ちなみに、歴史的とか考古学的に言えば、
新石器時代の中期(紀元前6000年頃)に様々な技術革新が起こった結果、
- 大規模な農業が可能になり、力仕事が増えた
- 職業軍人を養成できるようになり、戦争も増えた
そんなこんなで男性の必要性も増えたため、必然と男性の社会的地位も高まった
ってな感じです。
3. ラジ・フェミとマル・フェミへ
エンゲルスの思想の詳細は省略しますが、要するに、
資本主義を打倒して共産主義の社会を作れば女性への抑圧も解消されるはずだ!
というものでした。
結論から言えば、
共産主義国家のソ連や中国でも男女の不平等は根強かったので、エンゲルスの予測はハズレたと言えます。
しかし、
エンゲルスらの思想は「男女の不平等は自然なことである」という風潮と真向から対峙する、当時の女性にとっては頼もしいものでした。
また、「男性の側から女性の権利向上を大々的に目指した」という点でも、非常に珍しいものでした。
彼らの運動は、ラジカル・フェミニズムやマルクス主義フェミニズムにつながるのですが、その話はまた今度します。
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少し前までフランスでは女性は「人間扱い」されていなかった?
[フェミニズム(feminism)]という英単語は1910年以降に一般的に使われるようになりました。
しかし、フランスでは1837年の時点で[フェミニスム(féminisme)]という言葉が使われていたようです。
今回は、そんな感じの話をします。
1. フェミニズムの起源
フランス革命は有名なので、多くの方は、名前ぐらいは聞いたことがあると思うのですが、その原動力になった[フランス人権宣言(1789年)]をご存知でしょうか。
1-1. フランス人権宣言(正式名称:人間と市民の権利宣言)
その[第一条]は、
人は自由かつ権利において平等なものとして生まれ生存する
人々の平等や尊厳を高らかに謳ったこの宣言に、多くの人は「キタ――(゚∀゚)――!!」となったのですが、
実は、大きな欠陥があり、「人々」の中には女性は含まれていませんでした。
※と言っても、動物のような扱いをしていたわけではなく「半人前」のようなニュアンスです。
1-2. 女権宣言(正式名称:女性および女性市民の権利宣言)
それを受けて、フランスの女優で劇作家でもあったオランプ・ド・グージュ(1748-1793)は、2年後の1791年に[女権宣言]を発表します。
その[第一条]は、
女性は自由かつ権利において男性と平等なものとして生まれ生存する
この宣言は多くの女性を勇気づけ、後世の人から[リベラル・フェミニズム]と呼ばれる運動を起こします。
様々な国家が婦人参政権を認めるのはまだ先の話(20世紀以降)ではあるものの、この運動こそがフェミニズムの起源だとされているのです。
1-3. リベラル・フェミニズムとは
というわけで、最初のフェミニズムであるリベラル・フェミニズムは、
男女平等や女性の自由を求める思想
と定義できます。
[リベラル]というのは、
- 人間は皆、理性を持った尊い存在である
- よって、各個人の自由を尊重しなければならない
という考え方で、リベラル・フェミニズムはこれに根付いているわけですね。
2. 「女性は半人前」という偏見
ただし、「女性は半人前だ」としていたのは当時のフランスだけではありません。
このような考え方は、古今東西いろいろな場所で見られます。
例えば、西洋の思想や学問のルーツとされる古代ギリシャのアテナイ(アテネ)では、市民階級の女性でさえ「半市民」とされていました。
- 家庭で「本来の市民」たる夫を支える
- 将来の市民を産み育てる
というのが社会的な役割で、やはり、男性の補佐的な存在という位置づけだったわけですね。
3. 女性自身が獲得せざるを得なかった
など、いろいろな批判があります。
しかし、人々の自由や尊厳への道を一歩進めたことは確かでしょう。
と言っても、女性の権利は女性自身が主張し、獲得しなければならなかったというのも確かです。
これは、フェミニズムの第二派とされる[ラジカル・フェミニズム]が男性社会に不信感を抱く理由の一つでもあります。
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フェミニストは、なぜエッチなポスターに厳しいのか
[フェミニスト]と言えば、
- 女性の賃金や社会的な地位の低さを改善しようとする人
- ちょっとエッチなポスターなどに批判的な人
というイメージがあると思います。
しかし、この2つはよく考えると全くの別物で、戸惑う方も多いかもしれません。
ちなみに、1はリベラル・フェミニスト、2はラジカル・フェミニストと言います。
さらに、フェミニズムにはたくさんの流派があり、サーティワンアイスクリームのようになっているのですが、頑張って整理したいと思います。
1. フェミニズムの3つの意味
通常、フェミニズムは「第一期・第二期・第三期(そして、たぶん今は第四期)」というふうに、一連の流れとして紹介されるのですが、
フェミニズムには3つの意味、または活動があると考えた方がわかりやすいでしょう。
そして、3つの内どれかに関わっていれば[フェミニスト]を自称できると思います。
ただし、3はかなり特殊な人々です。
3は、現実の男女差別や男女の問題から離れて学者たちが難解な学術論争を繰り広げているようなものと捉えてください。
言うなれば、フェミニズムの番外編、スピンオフ作品、つまり、
人気海外ドラマシリーズ『CSI:科学捜査班』に対する『CSI:マイアミ』みたいな感じだと思えば良いでしょう。
しかし、精神分析や哲学のあの難解な感じが好きな方はハマるでしょう。
2. 男女平等と男尊女卑
もう一度繰り返すと、フェミニズムの3つの意味(活動)とは、
なのですが、名称的には、
もっといろいろな流派があるのですが、代表的なのはこの5つです。
その中でも基本になるのは、やはりリベラル・フェミニズムとラジカル・フェミニズムです。
2-1. リベラル・フェミニズムとは
リベラル・フェミニズムは婦人参政権や女子の教育機会など、女性の法的な権利の獲得のために運動してきた人々です。
いわば、法や制度上での男女平等を目指します。
2-2. ラジカル・フェミニズムとは
しかし、「形式的に男女平等になっても、人々の考え方が男尊女卑のままだったら意味がない」と言って現れたのがラジカル・フェミニズムです。
『フェミニズム入門』を書いている大越愛子氏によると、
未だ男性理論の優等生であるという自己陶酔に未練を残す先行世代(出典元:大越愛子『フェミニズム入門』)
(赤文字は引用者)
というのが先ほどのリベラル・フェミニズムで、それを乗り越えるために登場したのがラジカル・フェミニズムです。
先行世代に対してなかなか酷い言い草だとも思いますが、実際、両者は意見が合わないところがあります。
また、ラジカル・フェミニズムの主な主張は、
性暴力は(…)女性の魂と彼女の価値体系を破壊し、男性の優位性を女性に承認させる、支配の権力として発動する。(同上)
というものです。
3. ポルノ論争
この「性暴力」にはポルノグラフィー(性的な映像や写真など)も含まれます。
そこで有名な「ポルノ論争」が始まるのですが、
ラジカル・フェミニズムによれば、
ポルノが蔓延したら、女性への偏見が強まり、女性の雇用や教育や公共事業における機会が減少する
のだそうです。
一方、リベラル・フェミニズムは、
そんな極端な主張をすれば、女性全体が笑い者になる
と言って、別の意味で心配をしています。
両者がヒートアップしてきたところで、今回は急に終わらせていただこうと思います。
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教育熱心な親と過干渉な親の違いについて
今回は前回に引き続き[過干渉な親]について書いていきます。
過干渉な親には、
- 子どもは所有物だと思っている親
- 子どもと心理的に一体化している親
の2タイプあるのですが、
今回は典型的な1の親である「完全主義で支配的な親」を紹介します。
1. 完全主義で支配的な親の特徴
「完全主義で支配的な親」かどうかの判断基準は、実は結構あいまいです。
まずは特徴をいくつか挙げます。
- ステータスや世間体を重視する
- しばしば実現不可能な高い基準を設ける
- 子どもが完璧でないと気が済まない(粗探しばかりする)
- 粗雑さや不潔さを極度に忌み嫌っている
- 言動に強迫観念が含まれている
ここで、注目して頂きたいのは1です。
1-1. 教育熱心な親との違い
1くらいだったら、教育熱心な家庭も含まれてしまいそうですが、
臨床心理士のダン・ニューハースは、
「完全主義者の親」の多くは、美、地位、権力、お金などをほとんど宗教的といてよいほど崇拝します。(出典元:ダン・ニューハース『不幸にする親 人生を奪われる子供』)
(赤文字は引用者)
このように述べていることから、単なる教育熱心な親とは違う異様な雰囲気をかもし出していることがわかります。
地位や権力などのステータスを崇拝しているため、学歴や肩書も異常に必要としているのでしょう。
また、「完全主義で支配的な親」は子どもを自分の所有物だと考えます。
よって、「高い学歴の子どもを所有したい」という歪んだ支配欲をこのタイプの親は持っているのかもしれません。
1-2. 完璧さに憑りつかれている
1や2の基準までは少しわかりにくかったですが、
「3 子どもが完璧でないと気が済まない」までいくと、かなり問題ある親だと感じると思います。
もう一度、ダン・ニューハースの著作を引用すると、
子供の食事、睡眠、掃除、しゃべり方、その他すべてについて自分の基準を守らせようとして、子供に苦痛を強います。そういう親は、自分が置いたところに物がなかったりするとパニック状態になったり、逆上したりします。(同上)
このように、いわば完全さ完璧さに憑りつかれているわけですね。
また、ここまで完全主義をこじらせていくと、基本的に完璧さへの欲求が満たされることはありません。
その結果、子どもは際限なく苦しめられるのです。
2. 後遺症を残すわけではない
現在の毒親論は「子どもが毒親と思えば毒親」という風になっているので、毒親かどうかの判断は各自がせねばなりません。
よって、逆に一般的な親を叩きすぎる風潮を作ることに注意するべきでしょう。
しかし、「完全主義で支配的な親」に育てられた子どもは、「自分の親は、たぶん一般的な親とは違うな」と思いながら育ったと思います。
そのように感じた理由は、このタイプの親は、
ステータスへの崇拝や完璧さへのこだわりが強すぎて、子どもとの人間味ある接触を後回しにしてしまうからでしょう。
ですが、そのような親でも子どもへの愛情が全くないわけではないし、
暴言・暴力をしたり性的虐待をする毒親とは違い、脳へのダメージを与え、虐待の後遺症をのこすわけではないので、まだ救いがあると思います。
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【過干渉な親たち】過干渉になる意外な理由とは?
今回は「過干渉な親たち(スーザン・フォワードの言い方ではコントロールしたがる親たち)」について書いていきます。
と言っても[過干渉]にはいろいろなタイプがあり、本来は一つの記事には収まらないのですが、頑張っていこうと思います。
1. 過干渉になる2つの理由
子育てや教育は、子どもたちが人間社会で生きていけるようにするために少なからず干渉するものなので、
何でもかんでも「過干渉だ!」と言われたら、子育ても教育もやってられません。
そこで、「健全な子育て・教育(つまり干渉)」と「過干渉」の違いを考えなければならないのですが、
親が過干渉になってしまう理由や動機に注目してみれば、過干渉の実態も掴みやすいかもしれません。
これは2種類に大別されるようです。
1-1. 理由① 子どもを所有物だと思っている
世の中には「子どもは自分の所有物だ」と思っている親もいます。
そのように思っているため、子どもの意志を認めず、自分の都合を押しつけるわけですね。
例えば、
- 理想主義者で「理想の家族」を子どもに演じさせる
- ステータス信仰が強く、学歴や肩書が良い子どもしか認めない
- 異常に神経質で、子どもの粗探しばかりする
- 幼稚で自己中心的
などのタイプがいます。
このような親たちは自分第一で我が強過ぎるため、子どもの生き方を尊重してくれません。
1-2. 理由② 子どもと心理的に一体化している
対して、子ども第一だという親も過干渉になり得ます。
と言っても、ほとんどの親は子どもを第一に感じるだろうし、なかなか子離れできない方もいるでしょう。
しかし、中には子どもと心理的に一体化してしまっている親もいるようです。
スーザン・フォワードの分析によれば、
子供が成長して独立し、家を出ていった後に、残された中高年の夫婦によく見られる精神不安定な状態を「巣立ち症候群」というが、コントロールしたがる親は子供がまだ幼いうちからこの症候群と似たような不健康な不安感を抱いている。(出典元:スーザン・フォワード『毒になる親』)
(赤文字は引用者)
このような親は、子どもに必要とされなくなることを極端に恐れているため、
子どもが「ほっといとくれ」とでも言おうものなら、深く傷つき涙を浮かべたり、逆に裏切られたと思い、口汚くののしったりしてしまいます。
2. 同情を誘う親
「①子どもを所有物だと思っている親」と「②子どもと心理的に一体化している親」を比較すると、
子どもにとって腹が立つのは①の方でしょうが、厄介なのは②の方です。
暴言・暴力で傷つける親や性的虐待をする親とは違い「過干渉な親」は、子どもの脳を傷つけたり、トラウマ(PTSD)を与えたりという後遺症は残しません。
よって、過干渉な親に悩んできた方も、自立した後は親と適切な距離をとることで精神的には楽になります。
しかし、②タイプの過干渉な親は過剰とは言え愛情があるし、同情を誘うため、子どもの方も意見しにくいようです。
それでも少しずつ適切な距離をとっていく他ないのですが、
もし、スーザン・フォワードの言うように、②の親になんらかの症候群があるのなら、そちらの解決法を探した方が良いのかもしれません。
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【性的虐待する親の特徴】なぜ、性暴力は問題化しにくい?
今回のテーマは「性的虐待をする親」についてです。
「性的虐待をする親」は毒親の中でも異質な者とされ、例えば水島広子氏は、自身の毒親本の中で、
虐待をする親のなかでも性的な行為をする親だけはあまりにも特殊で悪質度が高いため、本書で論じる「毒親」からは除外します。(出典元:水島広子『「毒親」の正体』)
(赤文字は引用者)
と述べています。それでは、どう特殊なのかを見ていきましょう。
1. なぜ性的虐待をするのか
「性的虐待」と言うと、親→子へのものを連想するのではないでしょうか。
しかし、
性的虐待は保護者によるものよりも、教師、近所の人、親戚、兄弟など保護者以外の人からの加害のほうがはるかに多い。(出典元:森田ゆり『子どもへの性的虐待』)
とのことなので、保護者以外の加害者からの性的な被害も「性的虐待」と明記していこうと思います。
さて、性的虐待をする人の特徴は、
- 子どもに性的魅力を覚える
- 子ども相手でしか性的満足を得られない
- 支配欲が強い
2は1の上位互換のようなものです。
この3つは全て当てはまらなければならないわけではなく、
例えば、子どもに性的魅力を特に感じていなくても、支配欲が強い場合、非力な子どもがターゲットになることもあります。
そして、この歪んだ支配欲は「性的虐待をする親」を知る上で重要なキーワードにもなるようです。
2. なぜ問題化されないのか
[毒になる親(毒親)]という言葉を作ったスーザン・フォワードは、
支配欲を満足させたいという動機が結果的に近親相姦につながるのであり、性欲を満足させたいからではない
と指摘しています。
さらに言えば、性的な意味でお気に入りの子どもではなく、純粋な従順な子どもが狙われやすいようです。
実際、統計調査によると、
加害者の多くは、子どもが自分の要求を拒否したり、大声を出したりすると、それだけで行為をやめる。特別の強い動機がない限り、加害者は抵抗する子ども、第三者に知られてしまうような行動に出る子どもをどこまでも追いかけることはまれである。(同上)
とのことです。
性的虐待は問題化しづらいと言いますが、そもそも加害者の側が問題化しなさそうな子どもを選んでいるわけですね。
さらに、この事は「抵抗しなかった」「本人も楽しんでいた」などの加害者側の弁明にもつながっています。
3. 性的虐待加害者の特徴
加害者は、このような性的行為を徐々にエスカレートさせていくようです。
- 手を握る
- 背中をさする
- 額にキスをする
などの行為をしていき、相手が拒否しないのを確認しながら、どんどんと性的な行為を発展させていくわけです。
しかも、大半は相手を脅しません。なぜなら、「大人である」ことだけで、身体的にも社会的にも威圧できるからです。
脅すとしても、恫喝するわけではなく、
- 騒いだらお母さんに嫌われるよ
- みんなが困るよ
など、目つきや声色を変えながら、少しずつ圧を加えます。
こうすることで、大声で騒いだり、ひどく怯えさせて周囲に異変を察知させないための工夫なのかもしれませんが、
これこそが性的虐待をする人間の特徴なのかもしれません。
つまり、
- 暴言や暴力をする度胸はないが、異常な支配欲を持っている
- 言葉巧みで洞察力もある
- いっぺんに快楽を求めるのではなく、周到に長い時間をかけて子どもを支配しようとする
このような卑劣で気持ちの悪い、まるでマムシのような人間だということです。
しかし、このように言うとマムシに失礼かもしれないので、今日はこの辺で終わりにしたいと思います。
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