【虐待と脳】軽い体罰でもダメなのか?
前回に引き続き、虐待と脳の関係について書いていきます。
1. 実は反論もある
「虐待による脳の成長の阻害(=脳を委縮させる)」に関する研究には、実は強力な反論もあるようです。
1-1. 虐待と脳の関係
「虐待が脳を委縮させる」論の概要は、前回書いたのですが、
agonarisannotou.hatenablog.com
ポイントは、
と呼ばれる脳の一部分を、それぞれ委縮させるという点です。
1-2. 子どもの遺伝的要素
しかし、これに対し、
- 虐待によって脳が委縮したのではなく、生まれつき脳の容量が小さかったのではないか
- 子どもの行動に問題があったから、親の方も厳しく育てざるを得なかったのではないのか
という反論があります。
いわば「子どもの生まれつき(遺伝的)の要素を見落とすな」という批判です。
確かに、現在は脳科学だけではなく遺伝学の研究も進んだ時代なので、このような批判は無視できないでしょう。
2. 因果関係は正しい?
それでは、これらの批判について考えていきましょう。
2-1. 性的虐待の場合…
性的虐待は脳の視覚野を委縮させます。
視覚野が損なわれると、映像的な記憶を形成しにくくなってしまいます。
そうすることで、辛い記憶が脳にとどまらないようにしているわけです。
しかしその逆、つまり、
「生まれつき視覚野の容量が小さい子どもに対して親が性的虐待をする」というのは、因果関係は無さそうですよね。
よって、性的虐待に関しては脳を委縮させるという事が言えそうです。
2-2. 体罰の場合…
そして、これらの部分が損なわれると、
- 恐怖や危険を過剰に感じやすくなる
- 気分障害や非行を繰り返す素行障害につながる
とのことです。
しかし、これに関してはどうでしょうか。
確かに、
という因果関係もあるかもしれません。
3. 体罰に関する考え方
そういうわけで体罰に関する考え方は、やはり賛否が分かれるようです。
3-1. 体罰容認派が多数派
2018年に行われた、全国20歳以上の男女2万人を対象としたアンケート調査では「体罰容認派」は6割以上でした。
と言っても、
など、幅のある感じで「軽い体罰くらいならいい」と考える人が多かったようです。
これに対し、脳科学者は「虐待が脳を委縮させる」論を用いて「体罰は軽いものでもダメだ」と答える人が多い気がします。
3-2. 生まれつきの攻撃性はどうするのか
しかし、遺伝子研究によって、生まれつきカッとなりやすい子や攻撃的な子がいることも明らかになったわけですから、
どうせなら「生まれつきの攻撃性を押さえるような脳科学的アプローチ」を開発した方が良いと思うのですが、
そういうのが今後出て来て欲しいな、と言いつつ、今回は終わります。
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