ネグレクトが性格を歪ませるって本当?
今回は、
- ネグレクトは子どもの性格を歪める
- そもそも[性格]って何なの?
という話をしつつ、最後に前向きな話をして締めようかと思います。
1. ネグレクトとは
ネグレクトは「育児放棄」と訳されるのですが、具体的には、
- おむつやトイレの世話をしない
- 食事を充分に与えない
- 長時間、家や車内に置き去りにする
などの行為を指します。
この内、2と3は、度が過ぎたら子どもの命を奪いかねない危険な行為です。
例えば、7月にニュースになった大田区蒲田の3歳女児放置死事件では、被害者の子は栄養失調で亡くなりました。
また、先日ニュースになった高松市の事件では、女児二人が約15時間車内に放置された結果、熱中症で亡くなりました。
このような栄養失調や熱中症を伴うネグレクトは、たった一回でも子どもの命を奪います。
しかし、重度のネグレクトを受けたにもかかわらず、不幸中の幸いで死に至らなくても、それが継続化した場合、子どもの性格が歪んでしまう可能性もあるのです。
2. 愛着障害とは
その性格の歪みは[愛着障害]と呼ばれます。
DSM-5にのっている愛着障害は、反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害の2つなのですが、その特徴をまとめると…
2-1. 反応性愛着障害の特徴
- 大人の養育者に対して、苦痛があっても訴えず、苦痛から助けてもらっても喜ばない。
- 他人と交流したがらない。また、養育者と一緒にいても落ち着かず、悲しみや恐れを見せている。
2-2. 脱抑制型対人交流障害の特徴
- 見慣れない大人に躊躇することなく近づき、過度に馴れ馴れしい態度を見せる。そして、不慣れな環境で自分の養育者と離れた後でも、養育者のほうをふり返ろうとしない。
- 突発的な行動がみられる。
2-3. 五歳まで
さらに、これらは5歳までの幼児が発症します。
2-4. あくまで、深刻なネグレクトを受けた結果
そして、あくまでですが、
深刻なネグレクトを受けていて、なおかつ、これらの特徴が見られた子のみが反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害と診断されます。
ところが、
- あまり他人と交流したがらない。
- 少し馴れ馴れしい
という人に対して、「キミって軽い愛着障害じゃないの?多分、むかし、軽いネグレクトを受けたんだねぇ」とか言って、
親子関係を壊滅させようとするキングボンビーのようなカウンセラーもいるので、お気を付けください。
3. 前向きな話
さて、ここまで暗い話をしましたが、最後に少しだけ前向きな話をします。
反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害は、あくまで養育者と一緒にいる時の性格(行動パターン)です。
しかし、私たちは「親といる時」と「友だちといる時」ではテンションや性格が違いますよね。
よって、親といる時に暗い気持ちになったとしても、友だちといる時は明るくなれる人もいます。
このことは、毒親問題を考える上でとても重要です。
まあ、毒親問題は一言二言で語れるものではないので、またいずれ改めて話をしようと思います。