【カッコいい言葉講座】大衆と民衆の違いはこれだ!!!
私の友人にカッコいい言葉を使いたがる人がいるのですが(親しみを込めて「カッコいい言葉・使いたがリーナ」と呼んでいます)、
先日、使いたがリーナが[大衆]に対して苦言を呈していて、カッコイイなと思ったので、私も負けじと大衆について書いていこうと思います。
1. 大衆とは
[大衆]という言葉は、ほとんどの場合、悪い意味で使われます。
しかしたまに、「多くの人々」くらいの意味で使う人もいます。雑誌の『週刊大衆』などはその例ですね。
このように[大衆]の使い方に温度差があるのは、
英語のmass(マス)という悪い意味の言葉を[大衆]という無難な言葉で訳してしまったから
と言われています。
実は西洋には、けっこう昔から「mass理論」があり、「massハコマッタヒトタチダヨ」みたいな感じになっていたのです。
2. 何が悪いのか
それでは、西洋の政治学・社会学・哲学における[大衆(mass)]はどのような人たちを指すのかを見ていきましょう。
2-1. 大衆の行動パターン
ポイントは2つです。
- カリスマ的存在に熱狂する
- マスメディアに流されやすい
マスメディアとは、新聞・雑誌・ラジオ・ テレビ・映画などの情報媒体のこと。ネットはグレーゾーンといったところでしょうか。
2-1-1. カリスマへの熱狂
カリスマとは、神聖で不可侵だと思わせる存在のことです。
また、大衆文化論では、テレビや映画のスターなどもカリスマと分類されます。
これらの存在に熱狂しやすい人々を大衆というわけですね。
2-1-2. マスメディアに流されやすい
カリスマはマスメディアを利用する、またはマスメディアに作られる存在という言われ方もします。
ということは、大衆はそれだけマスメディアの情報に流されやすいということですね。
2-2. 大衆の特徴
それではなぜカリスマに熱狂したり、マスメディアに流されたりするのかというと、
大衆は画一化・モデル化されやすいからです。
2-2-1. 画一化とは?
画一化とは、個性が無くなり同じような存在になるというです。
もっと言うと、
- カリスマと同じようになりたい
- マスメディアが作った流行や標準に敏感で、同じ商品を消費したがる
要するに「自分を持たず、他人や情報に流されやすい」といった感じでしょうか。
2-2-2. モデル化とは?
この場合の[モデル]とは、「このように生きれば社会的に認められるだろう」という標準のようなものです。
- 流行語や流行りの商品を使いたがる
- マニュアルや前例、組織の方針に従っていればいい
こういったメンタリティーがモデル化に繋がります。
3. 民衆との違い
ところで、よく似た言葉に[民衆]がありますが、こちらは、
国家や社会における被支配階級の人々を指します。
ヴィクトル・ユゴーの著作『レミゼラブル』に「民衆の歌」がありましたが、あれはまさに、被支配階級の人々が支配階級に対して闘いを挑むときの歌でしたね。
つまり、
- 大衆→マスメディアとの関連で使われる
- 民衆→権力者との関連で使われる
ということです。
4. まとめ
以上のように、大衆は、
- 自分を持たずに、カリスマに影響されやすい
- 他人に合わせたり、情報に流されたりしやすい
という批判的な意味の言葉です。
ですが、
人間の、情報を取り入れたり、感情移入したり、同調したりする能力が経済や共同体を作っているという側面もあります。
なので、大衆を叩き過ぎるのもまた良くないでしょう。
というわけで、「大衆を非難し過ぎてもしょうがないじゃないか」とえなりかずき的なことを最後に言って、今回は終わりにします。