「子育ては無意味」という遺伝子決定論は正しいのか?
「人生は幼児期の親子関係に左右される」という「子育て神話」は、フロイトの精神分析以降さかんに言われるようになります。
と言っても、
というニュアンスでした。
しかし、年月を経て、
例えば岡田尊司氏は、
- 性格
- 精神病へのなりやすさ
- 犯罪を起こす確率
- 恋愛が上手くできるか
- 健康や寿命
などは、2歳までの母親との接し方でほぼ決定するという、かなり極端な主張をするようになります。
(ここまでがプロローグです)
1.遺伝子決定論の登場
このような子育て神話は、遺伝学が未発達だったころのもので、
皆さんも「遺伝子は子どもに大きな影響を与える」というふうに漠然と思っているのではないでしょうか。
しかし、子育て神話の反動かもしれませんが、今度は「人生は遺伝子に左右される」という「遺伝子決定論」が出てきます。
そうこうしている内に、「遺伝子で決まるんなら、子育てなんて意味ないじゃん」という意見まで出てきてしまいます。
というわけで、前置きが長くなりましたが、今回は、
「子どもの人生は遺伝子(生まれつきの性質)で決まるから、子育ては意味がない」という意見の是非を考えていきましょう。
2.遺伝?それとも環境?
まずは[性格]に関する科学的見解を紹介します。
子どもの性格は「遺伝 50%、環境 50%」で決まるというのが現代の科学的見解です。
50:50というのは出来過ぎだと思われるかもしれませんが、
- 一卵性双生児のペア→遺伝子構造は同じ
- 二卵性双生児のペア→遺伝子は半分同じ
- 養子縁組のきょうだい→遺伝子構造が異なる
この3パターンの遺伝子構造を持つ様々なきょうだいの研究によって明らかになったようです。
ところで、「環境」が50であって「子育て」が50ではないことに注意しましょう。
子育て(養育)は環境の一部なので、子育てが子どもの性格に与える割合はもっと低くなります。
※十数パーセントに過ぎないという見方もあるようです。
ちなみに[知能]は7割が遺伝で決まると言われています。
というわけで、
「子どもの人生は遺伝子で決まる」は言い過ぎですが、遺伝子の役割は非常に大きいわけですね。
3.子育ては無駄ではない理由
それでは、子育ては無意味かと言うと、全然そんなことはありません。
例えば、「子育て神話」も「遺伝子決定論」もどちらも批判する、教育研究家のJ.R.ハリスは、
- 子どもに優しくすれば、子どもは成人した後も、自分たち(親)に優しく接してくれる
- 愛情ある子育てをすれば、子どもは子ども時代は幸せである
- 家の外で子どもがどのように扱われるかを決めることはできないが、家の中で子どもに安らぎを与えることはできる
と述べています。
3-1.家の外と成人後
この3箇条は非常に重要で、
親は子どもの家の外や成人した後での生き方を決めることはできません。
しかし、子どもに愛情を注げば、子どもの好感度は上がり親に優しくはなるでしょう。
と言っても、この事は他のあらゆる人間関係でも言えることで、親子関係が特異ではないということですね。
3-2.毒親の場合は?
さらに、この3箇条は毒親を考える上でも重要です。
ただし過干渉型や支配型の毒親は、子どもを家の中に縛り付けようとしたり、成人後でもコントロールしようとしたりします。
この辺りは、別個対策が必要でしょう。
また、「毒親が子どもの性格や生き方を歪める」というのも言い過ぎなのですが、
虐待の種類によっては、子どもの脳へダメージを残す場合もあります。
この辺りは、次回話そうと思います。
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